技術紹介TECHNOLOGY

バイオコンバージョン(バイオ分野)BIO CONVERSION (BIO TECHNOLOGY FIELD)

技術概要

化学合成が困難であるものや非効率である化合物について、微生物/組み換え微生物、精製酵素、動物組織ホモジネートなどの生体触媒を利用し、商業生産に至るまで効率の良いソリューションやそのプロセスに基づく製品、及び代謝物などをご提供します。

プロセス開発
への活用

生体触媒と神戸天然物化学の基盤である有機合成技術を合理的に組み合せ、原薬やその中間体及びファインケミカルズなど、様々な化合物のより良い合成プロセスをご提供します。例えば、多段階合成が必要である複雑な化合物も、保護・脱保護工程の省略や、高選択的な反応の構築が可能になるなど、有機合成だけでは達成が難しい効率的な製造プロセスを開発します。
高選択的な反応の構築では、株式会社ダイセルから導入したChiralscreen®を活用した様々な光学活性体の合成サービスもご提供します。Chiralscreen®を代表とする生体触媒ライブラリーについて、初期スクリーニングから商業生産まで一貫したご提案が可能です。

これまでの発酵・培養技術や多種多様な単離・精製経験も活かし、実用的な製造法を構築します。


化合物例

代謝物合成
への活用

生体触媒を用いて、医薬品や農薬、健康食品などについて、それらの有効成分や関連化合物の代謝物をご提供します。構造未知あるいは化学合成困難な代謝物を数mg~数gスケールで調整しています。また、HPLCやLC/MS/MSにて生成物の追跡を行うため、基質の化学構造を開示いただく必要はありません。化学構造が不明である複数の未知の代謝物でも一括でご提供できます。

製造実績
  • グルクロン酸抱合体
  • シトクロムP450(P450)代謝物(水酸化体、エポキシ体)
  • 硫酸抱合体
  • グルタチオン抱合体

SN-38G

SN-38G

関連技術の開発

・発現系
P450やジオキシゲナーゼなどの酸化酵素、UDP-グルクロン酸転移酵素などの糖転移酵素の発現系について技術開発を行っています。P450については多くの細菌由来及び植物由来の遺伝子を保有し、各由来に対応する機能発現ベクターを構築しています。この中でも様々な細菌由来P450(クラスⅠ)を汎用的に機能発現させることができるベクターは神戸天然物化学独自のものです。このベクターは、クラスⅣの電子伝達タンパク質と様々なクラスⅠのP450とを融合タンパク質として発現させることにより、P450の機能を効率良く発揮させることができます。
・スクリーニングシステム
細菌由来P450の中には、ヒト由来や植物由来P450と同じ変換を行うものがあり代謝物の調製に有用です。神戸天然物化学では常時約150種類の細菌由来P450組み換え大腸菌ライブラリーによる迅速なスクリーニング体制を構築しており、お客様の試験化合物に適した菌株の同定を行います。
・酵素改変
機能向上にあたっては、酵素反応制御に関わるアミノ酸部位を予測する計算技術(MSPER)を国立研究開発法人 産業技術総合研究所と協同で開発し、P450の反応位置選択性の向上に成功しています※1。MSPERでは、多数の酵素-基質複合体構造データからアミノ酸と基質の接触率を計算し、その接触率の差分から改変候補部位の順位表を作成します。順位の高い部位から変異を入れ改変酵素を作製することで、目的化合物生成を目指した効率的なP450改変が期待できます。

※1 本研究開発は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発(2016~2020年度)」による支援を受けて行ったものです。

スケール/
ステージ

創薬段階でのリード化合物の創製や医薬品代謝物の調製、工程短縮を目指したバイオプロセス開発、試作、製造など、あらゆるステージにおいてバイオコンバージョンがお客様の研究開発のニーズにお応えします。